高松高等裁判所 昭和31年(う)154号 判決
原審が被告人の原判示第一の行為につき刑法第二三五条、第六〇条、第二の行為につき森林法第一九七条、刑法第六〇条を夫々適用し、後者につき罰金刑を選択し、同法第四五条前段、第四八条第一項を適用して被告人を懲役五月及び罰金五千円に処し、且刑法第二五条第二項、第二五条の二第一項後段により右懲役及び罰金の双方につき三年間その執行を猶予した上被告人を保護観察に付したこと、及び被告人は前に昭和二九年六月一一日本山簡易裁判所において窃盗、横領罪により懲役十月に処し三年間その執行を猶予する旨の判決を受け該判決は同月二六日確定したことが記録によつて明らかである。ところで刑法第二五条第二項は前に禁錮以上の刑に処せられたことがあつてもその執行を猶予せられた者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡を受け、情状特に憫諒すべきものがあるときは一年以上五年以下の期間内再びその執行を猶予することができる旨規定するも罰金の言渡を受けた者には右の如き再執行猶予ができることを規定しないから禁錮以上の刑の執行猶予中の者に対し罰金刑を科するときはその執行を猶予することはできないものと解さなければならない。然らば原判決が前記のように懲役の執行猶予中の被告人に対し懲役五月及び罰金五千円を言渡し刑法第二五条第二項を適用して懲役の外右罰金刑についてもその執行を猶予する旨の判決を言渡したのは明らかに右法律の適用を誤つたものであつてこの誤りは当然判決に影響するから原判決はこの点において破棄を免れない。
(裁判長判事 三野盛一 判事 谷弓雄 判事 合田得太郎)